金持ちは、なぜ高いところに住むのか

原題は Die Geschichte des Fahrstuhls
       Uber einen beweiglichen Ort der Moderne
英訳: The history of the elevator
       About a mobile place of modernity

金持ちは、なぜ高いところに住むのか―近代都市はエレベーターが作った

ある意味この邦題は割り切った戦略なのだろうが、効果的かは不明。
副題の「近代都市はエレベーターが作った」を大きくしても良いような。
これは訳者が副題をメインにしてたが、編集に修正されたパターンなのか。
などと勘ぐってしまう。

それはともかく読みさしだが、少しずつ書いてくスタイルでいく。
エレベーターに纏わる都市、建造物の変遷をフーコーバシュラールなどを引きながら
社会心理学的あるいは文学的…など様々な側面から語っていく。(3章までの印象)

19世紀後半~20世紀にかけて
「全き家」しか存在しなかったものが「兵舎風集合住宅」が増加していく。
その中で実際上の要請からエレベータが発達。
オーティスが安全装置を開発して人員用が普及する。
エレベータ自体の仕組みをオーティスが作ったわけでないとこがミソ。
(歴史の中でいろいろな人がオーティスに収束させられてしまった。)

エレベータの普及で生じたことは以下の通り。
・上層階と下層階の価値転換
・階層構造の均質化(中二階だとかがなくなり、数字によって住居を明確に指定できる。)

モダニティの象徴的構造物がエレベータであるから
この歴史を追いかけ、影響を汲み取ることはとても面白い。
(これエアコンでもできるかなと思ったが、エレベータは場所的要素があるから一番端的に切り取れるのだろう)

つづく